原稿はここで途絶しているーマルクス生誕から200周年ー
今年の5月5日は、マルクス生誕から200周年ということで、ヨーロッパ各地で様々なイベントが行われている。
Karl Marx, Capital and the British Library - The British Library
カール・マルクスと『資本論』
カール・マルクス、その名を知らない人はいない。
そして、その著書である『資本論』もまた同様であろう。
が、これだけ知られつつも、多くの人に最後まで読まれることがない本とも言われる。
全3巻98章の大作であるが、実際のところ、序盤の商品、価値形態のところがなんともややこしく、ここでつまづくと先へ進めない。
マルクスとイギリス
ドイツ (当時プロイセン領) に生まれたマルクスは、「危険分子」として、各国政府に追われ、各地を転々とし、最後に行きついたのが、イギリス、ロンドン。
様々な文献が集まる大英図書館に籠って、研究に没頭する。
朝から図書館に行き、閉館する夜8時まで、ノートをとりつつ文献を読み込み、思索に耽る。そして家に帰ると、そのノートを基に、朝まで勉強を続ける。
という具合で、ほとんど休まずに仕事を進めた。
マルクスの最期
そんな生活のためか、原稿の執筆途中で、彼は倒れて帰らぬ人となった。
部屋に散らかった原稿を、家族とエンゲルスがかき集めて出版されたのが、『資本論』である。
最後のページに記されたのは、「原稿はここで途絶している」
私はマルクス主義者ではないし、思想的に共鳴する部分はない。しかし、研究者としての姿勢や、特に大英図書館でのエピソードは気に入っている。
大英図書館には、彼に関する展示があり、さらに彼の墓はロンドンの北部のハイゲート墓地にある。興味のある方は、これを機会にマルクス巡りをするのもいいだろう。