保守ゆえに、同姓婚に賛成!? ーイギリスとLGBTー

日本の国会議員の発言によって、にわかに問われる政治家と、LGBT施策のありかた。関連して、イギリスにおけるLGBT、とくにパートナシップ政策について簡単に整理。

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Gay campaigners celebrate in London. - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)

キャメロン政権による同姓婚合法化

イギリスにおける同性愛者の権利保護は、決して平坦な道ではなかった。

戦後しばらくの間は、イギリスも他の国々と同様、同性愛は刑事罰の対象であった。

それが完全に削除されたのが、1982年。

 

そして、カップルの権利は、2005 年のブレア政権が同性カップルを公的に認める

シビルパートナーシップ制度の導入したことで一定の保障を得る。

この制度は、社会保障制度や近親者と ての権利を幅広く認めるものである。

 

しかしながら、同姓婚を認めるか否かという点については、イギリス社会は大きく割れて、なかなか議論が進まなかった。そんななか誕生したのが、保守党のキャメロン政権

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David Cameron's Conservative party conference speech in full | Politics | The Guardian

同姓婚を認めるにあたって、なにより反対の声が大きかったのが、身内の保守党議員たち。それも、保守党議員の半数以上が反対の姿勢。

さらに、イギリスにおいてはいまだに影響力が大きい宗教保守派の猛烈の反対。おまけに、キャメロン政権の閣僚からも反対の声がでるほどで、さすがに実現は難しいと思われた。

 

しかし、キャメロンは粘り強く世論に訴えかけた。

なんといってもハイライトは、

「私は保守党であるがゆえに、同姓婚に賛成する (‘I Support Gay Marriage Because I Am A Conservative’)

 

といったくだり。スピーチの内容はこちら

 

そして2013年に行われた投票。自主投票という形になった保守党は、反対者が続出。

およそ半数が反対、棄権することとなった。

 

しかし、野党、労働党の多くが賛成にまわったことで、同性婚を認める法案は成立した

 

法案においては、宗教施設でも同性カップルの挙式や、既婚カップルの性別変更を望む場合の措置なども定められた。

 

EU離脱問題で、低い評価をされることがおおいキャメロンも、この点に関しては、「よくやってくれた!」というイギリス国民の声も多い。間違いなく、キャメロン政権の功績の一つと言える。

 

LGBTについての政策が重要であるのは、単に当事者のためというのではなく、どういう社会を築くのか、まさに政治の根幹に関わるものだからである。

 

「少数派が生きやすい社会は、だれもが暮らしやすい社会」

 

キャメロンの奮闘から得られるものは多い。