緊迫化するパレスチナ情勢
アメリカが、大使館をテルアビブから、エルサレムへと移転したことへの抗議行動が広がり、パレスチナ自治区ガザでは50人以上の死傷者が出る事態となっている。
https://edition.cnn.com/2018/05/14/middleeast/gaza-protests-intl/index.html
全ての当事者は自制を
情勢が急速に悪化している中において、全ての当事者は行動を自制して、沈静化に努めてほしい。
もちろん一般論として、イスラエルの治安部隊は、国境、秩序を守るために必要な措置を取る権利がある。ただ、犠牲者の数、またその中に、14歳の子供が含まれていることを考えると、実弾発射は特に慎重に、かつ国際社会の批判にも真摯に耳を傾けてもらいたい。
ただし、このような混乱を生み出した最大の原因は、唐突なアメリカによるエルサレムへの大使館移転である。
大使館移転をめぐって
パレスチナ問題の背景は、とても一度に書ききれるほどではないので、またの機会として、ともかく、パレスチナ和平の最大の論点は、聖地エルサレムの地位についてであった。
その点についは、これまでの和平合意において、
「エルサレムの地位はイスラエルとパレスチナの和平交渉で決める」
ということになっていた。
それゆえ、これまで、アメリカを含めて各国は、イスラエルが首都としているエルサレムに大使館を置いてこなかった。それだけに、突如としてトランプ政権が実施を表明した今回の移転が、この混乱を引き起こした。
今後は
これにより、パレスチナ和平交渉は困難になるのみならず、アメリカと近い関係にある、ヨルダン、サウジアラビア、などの中東各国もアメリカの中東政策に厳しい姿勢を向けることになるだろう。
そうなれば、中東情勢全体が不安定化し、ことはパレスチナのみならず、世界全体に影響を及ぼす。
それにしても…私がパレスチナ (西岸) を訪れたのは、もう3年前だけど出口の見えないどころか、悪化していく現状は、見ていて本当に苦しい。
これ以上、事態が悪化しないよう推移を見守りたい。