映画「英国王のスピーチ」について

日本でも話題になった英国王のスピーチ(原題:King's speech) とイギリス英語について

 

ジョージ6世の悩み

王室のジョージ6世は、吃音のためうまくスピーチができない。

それを直すために、言語聴覚士ライオネル・ローグが英語の猛特訓するというのが大まかなストーリー。

 

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ジョージ6世は、国王ジョージ5世の次男として生まれ、王位は兄のエドワードが継ぐことになっていた。

実際に、父の死後は、兄が、エドワード8世として即位したものの、


離婚歴のあるアメリカ人女性と結婚を進めようとしたことで、イギリス全土を巻き込む論争となった。


結局、議会と首相はこれに反対し、エドワード8世は退位を余儀なくされる。



俗にいう「王冠を賭けた恋」として知られるこの事件によって、

思わぬ形で、ジョージ6世が即位することになるのである。

この作品ではその点も描かれている。

 

映画における英語表現について

さて、この映画では英語表現についても面白いところが多い。

例えば、ライオネルとジョージ6世の掛け合い。


ジョージ6世が「君は【声なき王】を生み出した!」


そして、少しして、ジョージ6世



「私には伝えたいことがある!!!!!」

といった後に、

自ら、はっ!!( ゚Д゚) とする場面がある。


この吹き替え版の訳は決して間違いではないのだけれども、

これだと、なぜ はっ!!としたのかが、いまいち伝わらない。

英語版のほうでは、 【声なき王】というところは、

 

【voiceless king】

となっており、  【伝えるべきことがある】 という部分は

 「Because I have a 【voice!】 」となっている。


つまり、少し前に、 【voiceless king】 と言いながら、

一転して I have a 【voice! 】


と言っている自分の矛盾に気づいて、はっと!したわけである。


The King's Speech - Official Trailer - The Weinstein Company

このシーンは、 こちらの予告編でも取り上げられている (01:33~あたりから)

 

ちなみに

吹き替え版も非常によくできているが、やはり原文でないと伝わらない部分は多い。


それが、また英語の面白さ、奥深さでもある。


ちなみに、映画にも出てくる、ジョージ6世のかわいい娘2人。


お姉さんのほうは、現女王エリザベス2世である。


沈みつつある大英帝国と、

力を付けるアメリカ、ソ連、そして、

最大の敵となる、ナチスドイツ。

ジョージ6世は、その狭間で懸命に生きた国王なのである。