「テロリズム」をめぐって

ここのところ世界各地で痛ましいテロ事件が続いている。

ここでは、そもそも論として、法的な用語としての「テロ」とは何かをまず確認したい。

2001年の9.11以降、特に国際社会を揺るがすようになったテロ行為であるが、その定義については、国連などでずっと議論されてきたにも関わらず、明確に定めることができていない。

そもそも、テロリズムという言葉の語源が、 「恐怖 (=terror)」 であるように、一定程度の心理的なものであり、かつ主観性を帯びていることと関連している。


そうなると、厳格な法的定義が極めて難しい。

しかし、国際条約、各国の刑法において、ある程度その定義は固まりつつあるのも事実である。ざっくり言うと、
 

① 国家に属さない個人、集団によるもの
② 殺人、爆破などの破壊行為を伴う 
③ 政治性、宗教性を帯びている。
  

この3つが特徴として挙げられる。そして、テロ対策法を持つ国の多くは、これらを基にしている。

例えば、イギリスの2000年テロ対策法 (The Terrorism Act 2000)
では、

『人に対する深刻な暴力を伴うこと』

『活動を行った者以外の人の生命を危険にさらすこと』
  
さらに、

 

『当該行使あるいは脅威が,政治的・宗教的あるいはイデオロギー的な帰結を助長させると いう目的のためなされている場合。』
  

と、

「政治的」「宗教的」「イデオロギー的」という言葉が並ぶ。

ちなみに、このような包括的テロ対策法を先駆けて制定したのが、ほかならぬイギリスである。

北アイルランドのIRAを含め長きに渡って、テロと対峙してきたイギリスにはその蓄積も多い。

アメリカも含め、多くの国のテロ対策法はイギリスをモデルにしている。

テロを取り締まる枠組みは、国内法、国際法、かなり発展してきているものの、課題も多い。

 

具体的課題等については、次の機会に。