生きるとは妥協することーメイ首相の辞任演説ー

5月24日、メイ首相がついに辞任を表明した。

 

その辞任演説の中で、これまで3年間に行ったきた政策、そして何より、メイ首相が取り組んだブレキジットについても語られた。

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メイ首相は就任して以来、EUとの交渉を行ない、なんとか協定案をまとめあげたものの、議会、特に身内の保守党の支持をまとめ切れずに、3度にわたって否決されるという、前代未聞の事態を引き起こしていた。 

 

先週火曜日には、4度目の議会採決に向けて、なんと

2回目の国民投票の可能性を含んだ案を提示したが

 

保守党内から批判が高まり、ついに辞任せざるをえない状況となってしまった。

 

こうなってみると、メイ首相は、国内政局を収めることができず、イギリス国内は離脱派と残留派が真っ二つの状況となってしまっている。その意味ではメイ首相が指導力不足であって、首相として力不足だったといわざるを得ない。

 

そもそも、メイ首相自身もEU離脱に理解を示していたとも言われるが、キャメロン首相の要請もあって、残留支持に動いた。が、積極的にキャンペーン活動をしたわけではなく、「隠れ離脱派」とも言われる微妙な立場であった。

 

ただ、それゆえに、離脱派、残留派、双方から受け入れやすいというところで、首相につけたという面もあった。

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https://www.france24.com/en/20160713-uk-theresa-may-formally-appointed-british-prime-minister-queen-cameron-brexit

 

一方で、内務大臣として実務能力は高く評価されており、10歳も年下、政治家としても後輩のキャメロン首相によく仕え、内閣からの信頼も厚かったという。

 

内閣発足にあたっては、離脱派の重鎮のデービスを離脱担当大臣、かつ、離脱派のリーダー、ボリスジョンソン外務大臣に据えるというサプライズで、また財務大臣は残留派のハモンドを任命し、バランスをとる形となったが、

 

結局は、内閣のメンバーがそれぞれ好き勝手に動き、また最後は辞任ドミノとなり機能不全になってしまった。

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https://www.chroniclelive.co.uk/news/uk-news/theresa-may-resigns-news-live-16323635

 

メイ首相は辞任演説の中で、

 

Never forget that compromise is not a dirty word.

Life depends on compromise

(妥協は決して汚い言葉ではないことは忘れるな。

生きるとは、妥協することだ。)

 

という言葉を残し、後任にブレクジットの行く先を託した。

ともあれ、今の状況では誰がやっても困難である状態であることは変わりない。

 

果たして、次の首相は誰になるのか。イギリス保守党の次期党首選から目が離せない。

4月と5月、どちらが先に終わる!?ー混迷のブレグジットー

ブレグジットをめぐって、イギリスの混乱が止まらない。

 

メイ首相は、EUとの交渉で、なんとか協定案をまとめあげた。

そして、最後の仕上げとして、議会の承認を待つのみとなったのだが……

 

協定案については問題点も多く、野党の労働党はもちろん、保守党の内部から批判にさらされてた。 メイ首相案の概要はこちら。

climbershigh.hatenablog.com

 

そして、1月に議会で採決がなされたのだが…なんと、230票差という歴史的大差にて否決。

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そして、微修正を加えた、2度目も否決、そして先週末には、最後に3度目の採決。

ここでなんとメイ首相は、採決に先立って、

 

「もし可決されたら辞任します!」という大勝負にでた

 

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https://www.nbcsandiego.com/news/national-international/Brexit-Deal-Alternative-Indicative-Votes-507720781.html

 

そして、大きな動きが。これまで強硬にメイ首相に反対していた、

 

ボリスジョンソン、そして、ERGという反EUのグループを率いる、リースモグの両名が政府案に賛成の意向を示した

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https://www.itv.com/news/2018-08-10/rees-mogg-denounces-tory-show-trial-of-boris-johnson/

 

この2人はこれからも、ブレグジットのキーパーソンなので、覚えておいてください。笑

 

がしかし、最後まで反対を貫いたのが、アイルランドの政党であり、連立与党でもあるDUP

 

DUPは、政府案では、イギリスから北部アイルランドが切り離される可能性があるとして、賛成できないとした。

 

頼みの綱の野党労働党からの造反も5人しか得られず、

 

メイ首相の思いもむなしく、再び否決。

 

完全に八方塞がりの状況のメイ首相…。

この状況を面白がるかのように、イアンブレマーが面白いツイート

 

『4月と5月、どちらが先に終わる?』メイとMayですね…。

 

あえて詳しく説明しないが、なんとも皮肉なツイートである…。

今後の展望についてはまた改めて。

 

さて、一体どちらが先に終わるでしょうか? 

頑張れメイ首相!-No deal ブレキジットへ向かう英国!?-

EU離脱をめぐって、昨夜21日、メイ首相は緊急会見。EU側が譲歩しなければ、No deal ブレキジットを辞さずとした。

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https://www.vennomax.com/european-union-pushes-october-brexit-agreement-threatens-no-deal/

行き詰まりを見せる離脱交渉

これまで、対立を繰り返しつつも、交渉を前に進めてきたイギリスとEU側。そのあたりは過去の記事を参照に。

climbershigh.hatenablog.com

離脱金、司法管轄については、ある程度のまとまり、

いわゆる「ソフトブレキジット」路線を歩んできた。

が、しかし、最後の課題はアイルランドをめぐる問題となっていた。そして、オーストリアで開かれたEUとの首脳会合では、メイ首相はEU側から厳しい要求が突き付けられた。

 

それは、通商については事実上、イギリス (ブリテン島) と北アイルランド切り離すものであった…。

アイルランドとEU離脱

以前にもまとめたように、アイルランドとイギリス、そして北アイルランドは極めて複雑な事情が絡んでいる。


climbershigh.hatenablog.com

さすがにこの提案は飲めないとみて、メイ首相は決裂辞さずという強い姿勢を示した。

メイ首相の判断は正しい!

歴史的経緯を踏まえれば、EU側の提案を呑むことは難しい。

何よりこれを受け入れれば、イギリスという国家そのものが壊れかねない。

 

私はメイ首相の進める「ソフトブレキジット」路線を必ずしも支持はしていない。

しかし、メイ首相はここのところ国内的にも激しい逆風にさらされ、閣僚の辞任など相次ぐなか、厳しい立場に立たさつつもぎりぎりの交渉をしてきた。

 

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https://www.investing.com/news/world-news/mays-brexit-plan-goes-pop-after-humiliation-by-eu-british-media-says-1618801

No-deal ブレキジットはたしかに短期的に見れば、イギリス経済には打撃であろう。しかし、アイルランド問題は、イギリスという国家そのものの存立基盤に関わる問題である。

 

イギリスを守るため、27か国というの巨大な組織であるEUと孤独にも、敢然と向き合うメイ首相。私はその姿勢を応援したい。

「これほどの衝撃を受けたことはなかった」日本とイギリスの戦争

8月15日、73回目の終戦記念日を迎える。あまり取り上げられない日本とイギリスの関係について。

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http://www.sankei.com/west/photos/150515/wst1505150001-p4.html

マレー沖海戦

先の大戦について、特に1941年以降は、真珠湾攻撃東京大空襲硫黄島の戦い、沖縄戦、広島、長崎の原爆、などいずれも、日本とアメリとの戦いが注目されることが多い。

しかし、日本とイギリスも激烈な戦いを繰り広げていた。

その典型が、マレー沖海戦である。

1941年12月、日本の勢力拡大を阻止すべく、イギリス海軍はマレーへと向かう。

そのイギリス艦隊を打ち破った戦いである

 

撃沈したのは、当時の最新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズ」と「レパルス」。

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https://richardedwards.info/2014/12/10/118/

 

世界を支配した「大英帝国」の象徴ともいえる2隻の軍艦をわずか数時間で、海に沈めた日本軍。

 

このことにびっくり仰天したのが、当時の首相チャーチル

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https://therake.com/stories/style/the-wardrobe-winston-churchill/

チャーチルの落胆

まさか日本軍に壊滅させられるなど、予想もしていなかったチャーチルは、このときばかりは、驚き、落胆。起き上がれなくなるほどに…。

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“In all the war I never received a more direct shock. As I turned over and twisted in bed the full horror sank in upon me.” (全ての期間を通して、これほどの衝撃を受けたことはなかった。)

 

と言わしめたほどの、イギリスの大敗北であった

まさに「大英帝国の終わりの始まり」を象徴するような戦い。

 

ほかにも、日英の大戦時の関係としては、「アーロン収容所」などがあります。

イギリスに来る方は、ご一読を。 

平成最後の終戦記念日

さて今回が、平成最後の終戦記念日

先の大戦で犠牲となった日本ならびに全ての国の犠牲者に心から哀悼の誠を捧げたいと思います。

イギリスが燃えています!?

7月26日、朝からイギリス全土が猛暑に見舞われている。ロンドンで33度を記録。

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Today is going to be the hottest day so far this summer - Huddersfield Examiner

イギリスはヨーロッパの中でも、涼しいというイメージがあり、実際これまでそうだったのだが、今日に限っては、ヨーロッパで1番の暑さとのこと

 

イングランド中部など一部地域では、38度を越える見込みで、

イギリスの観測史上最高値を記録する可能性も指摘されている。

 

あまりの暑さに、イギリスの気象庁「外出を控える」ようにと呼び掛けている。夏休みを迎える旅行業界からは反発の声も。

 

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https://www.standard.co.uk/topic/weather

ほんと30度超えすら珍しいイギリス人にとっては、ほんとに厳しい。何より冷房設備がほぼ皆無で、夏への備えができていない…。

特に大変なのが地下鉄で、冷房設備のない地下で、熱がこもって大変…。

 

この暑さ、いつまで続くんでしょうか…。ビーチは人が一杯。

 

夏にヨーロッパにお越しの際は、暑さ対策にご注意を。

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保守ゆえに、同姓婚に賛成!? ーイギリスとLGBTー

日本の国会議員の発言によって、にわかに問われる政治家と、LGBT施策のありかた。関連して、イギリスにおけるLGBT、とくにパートナシップ政策について簡単に整理。

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Gay campaigners celebrate in London. - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)

キャメロン政権による同姓婚合法化

イギリスにおける同性愛者の権利保護は、決して平坦な道ではなかった。

戦後しばらくの間は、イギリスも他の国々と同様、同性愛は刑事罰の対象であった。

それが完全に削除されたのが、1982年。

 

そして、カップルの権利は、2005 年のブレア政権が同性カップルを公的に認める

シビルパートナーシップ制度の導入したことで一定の保障を得る。

この制度は、社会保障制度や近親者と ての権利を幅広く認めるものである。

 

しかしながら、同姓婚を認めるか否かという点については、イギリス社会は大きく割れて、なかなか議論が進まなかった。そんななか誕生したのが、保守党のキャメロン政権

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David Cameron's Conservative party conference speech in full | Politics | The Guardian

同姓婚を認めるにあたって、なにより反対の声が大きかったのが、身内の保守党議員たち。それも、保守党議員の半数以上が反対の姿勢。

さらに、イギリスにおいてはいまだに影響力が大きい宗教保守派の猛烈の反対。おまけに、キャメロン政権の閣僚からも反対の声がでるほどで、さすがに実現は難しいと思われた。

 

しかし、キャメロンは粘り強く世論に訴えかけた。

なんといってもハイライトは、

「私は保守党であるがゆえに、同姓婚に賛成する (‘I Support Gay Marriage Because I Am A Conservative’)

 

といったくだり。スピーチの内容はこちら

 

そして2013年に行われた投票。自主投票という形になった保守党は、反対者が続出。

およそ半数が反対、棄権することとなった。

 

しかし、野党、労働党の多くが賛成にまわったことで、同性婚を認める法案は成立した

 

法案においては、宗教施設でも同性カップルの挙式や、既婚カップルの性別変更を望む場合の措置なども定められた。

 

EU離脱問題で、低い評価をされることがおおいキャメロンも、この点に関しては、「よくやってくれた!」というイギリス国民の声も多い。間違いなく、キャメロン政権の功績の一つと言える。

 

LGBTについての政策が重要であるのは、単に当事者のためというのではなく、どういう社会を築くのか、まさに政治の根幹に関わるものだからである。

 

「少数派が生きやすい社会は、だれもが暮らしやすい社会」

 

キャメロンの奮闘から得られるものは多い。

ホグワーツ行きの列車は、9と3/4番線!?

イギリスといえば、ハリーポッターを思い浮かべる人も多いはず。

今日はそのロケ地で有名なキングスクロス駅について。

f:id:climbershigh:20180719105727j:plainBehind the scenes: Platform nine and three-quarters - Pottermore

キングスクロス

キングス クロス駅は、ロンドンの中心部に位置する、主要駅の一つ。

イギリス北部への国内線はもちろん、その隣にはユーロスターの終着駅も接続されている。それ以上に有名なのは、

ハリーポッターホグワーツ魔法学校へ向けて出発した、

9と4分の3番線!!

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ファンの聖地

このロケ地では、記念写真を撮影するために常に長蛇の列…。
場合によっては、1時間半以上待つことも…。ちなみに私は並んだことはないです。

 

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そして、その隣には、ハリーポッターのショップも。

色々なグッズが集まっています。

ちなみに、イギリス各地にはハリーポッターのロケ地があちこちにあり、

ホグワーツ魔法学校のロケ地は、ダラムという北東イングランドの都市にあります。

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美しいノルマン様式で、世界遺産ダラム大聖堂がその舞台。

キングスクロス駅からは、列車で3時間半ほど。

また、ここまでくれば、スコットランドはすぐ近く。

その州都エディンバラには、J・K・ローリングが執筆する際に通っていたカフェもあります。

 あと、オックスフォードにもロケ地はあります。オックスフォード周遊についての記事も合わせてどうぞ。

climbershigh.hatenablog.com

ハリーポッターファンは、キングスクロス駅を起点に、あちこち周ることになる思います。駅は新しく、日本料理のレストランもあったりと、ゆったり時間を過ごせます。

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ロンドンの観光はみどころが多すぎて、1度ではとても無理。それに地下鉄などの交通機関についても、色々とあるので、それはまたの機会に整理してみようと思います。